作成日:2026/06/01
労基法大改正の本当のねらいは?
代表の中尾です。
いつもお読みいただきありがとうございます。
数年前から国が議論を進めている40年ぶりとされる労基法の大改正。
副業・兼業した時間の通算ルールや”つながらない権利”など、多様な働き方を推進するうえで妨げとなっている現行のルールを見直していこうということですが、そうした個別の話よりももっと大きな狙いがあります。それは、「1時間当たりいくら(給料)」という概念そのものを見直すということです。AIなどが発達し、これまで1時間かかっていたことが数分で済むようなことが増えてきました。また、人間に代わってロボットが働く場面も今後増えていくでしょう。そうした中で、1時間働いていくらという労働とその対価としての報酬(賃金・給与)が果たしてどれだけ意味のあるものなのかという大きな問いが突きつけられているのです。すでに、いわゆる「高プロ」と呼ばれる「仕事はあなたの裁量で進めていいですよ。また、1日〇時間働いたものとして給料を払いますね。」という制度がごく一部で運用されていますが、それをもっと広い範囲で、かつ導入も容易なものにしていくのがいいのではないか、という世界にしていこうとしているのです。✽単に高プロ制度を拡大させるわけではありません。まさに「働き方のイノベーション」に対応した制度・政策を展開していこうというわけです。他方、こうしたドラスティックな変化には当然抵抗感も強くなるため、労働者側からはこれまでの労働者保護が弱まるのではないかという懸念が強く示されてもいるようです。私としては、これまでの「1時間あたりいくら」という働き方は公平だったと思います。なぜなら、人間である以上、能力やお金の多寡にかかわらず「時間」はだれでも同じだけもっているからです。どんなに工夫しても、能力やお金の多寡の差は消せません。消してしまうとおかしくなるのはこれまでの歴史が証明しています。ただ、その「時間」を基軸とする働き方で生み出せる価値の大きさにも限度が見えてきているのも現実です。AIが、働くことと時間のバランスを大きく変化させてきたからです。もちろん、世の中には様々な仕事があり、今後も時間を基軸として賃金を決めるほうが適切なものも存在し続けるでしょう。今後は、そうしたものに加え、時間ではないものを軸として賃金を決めるような選択肢も整備され、各人のライフイベントや今後の見通しに基づいて、様々な働き方を行ったり来たりしやすくなるような世の中が志向されるでしょう。労働者と事業主の垣根も、これまでより低くなるかもしれません。
自由度の高いニュー労働者とでも言いましょうか。ただ、何でも自分で決めるのはなかなかしんどい面もあるので、昔のように国や会社がレールを引いてくれるような環境もまた、魅力的に映っていくのかもしれません。あなたの会社は、どの道を選びますか?そういうふうに「在り方」が問われる世の中になるのだと思います。