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作成日:2026/01/19
礼拝所が欲しいと言われた時の対処法

代表の中尾です。
いつもお読みいただきありがとうございます。

インドネシアをはじめとするイスラム教徒の多い国から働きに来られる人が増えてきました。

最近、そうしたイスラム教徒の従業員からの要望にどう応えればいいのか悩む事業所が静かに増えてきているように思います。

たとえば、職場に礼拝できる部屋を設けてほしいという要望です。
本当にイスラムの教えに則って作ろうとすると、
・男女別の部屋
・礼拝前の身を清めるための設備の設置
・メッカの方向を示すものの設置(目印でも可)
などといったものが必要になります。

人材の定着のためには必要か・・というお気持ちもあろうかと思いますが、ここは慎重に検討される方がいいでしょう。

理由としては、
・日本人をはじめとするほかの従業員が不公平感を抱くこと(日本人であっても宗教心に厚い方もおられる等)
・お祈りの時間は戒律で決まっているが、その時間に仕事を中断できるのかということ
会社の施設となるので、管理責任は会社に生じること
などがあります。

ではどうすればいいのかということですが、一つ、私として良い方法と思う事例があります。

それは、「是非が判断できないので礼拝所は設けない」ということです。

以前のブログでも書きましたが、事業主が同じくイスラム教徒であれば礼拝所が欲しいと言われればそのことは理解できますし、イスラム教徒としての義務を果たさねばならない判断は自然なことです。しかし、ほとんどの事業主はイスラム教徒ではないですし、イスラム教徒でない人がイスラム教のことを理解することはそもそも求められていません。理解できなくて当たり前ということです。

言い方を変えれば、イスラム教徒ではない人がイスラム教の戒律を守らなくても何ら問題ないということです。

あとは、やはり公平を保つという意味で、特定の宗教に配慮するということは避けた方がいいということです。
仏教でもキリスト教でもヒンドゥー教でも同様です。

要は「仕事中はみんな仕事に集中しなければいけないので、宗教のことは仕事以外のところでお願いします」ということで統一するという判断が、もっとも不公平を生まないということです。

私が経験した例でいうと、20代のころに東京のトルコ料理店でアルバイトしていたのですが、オーナーはトルコ人でイスラム教徒でした。
また、コックさん4名もトルコ人でイスラム教徒でした。日本人従業員は店長とアルバイト4名ほどで、アルバイトは1日1〜2名でしたので、トルコ人イスラム教徒のほうが多数派でした。もちろん、借りていた店舗のオーナーは日本人で、お客様も日本人がほとんどでしたので、店としては物理的な問題もあったでしょうが、特にイスラム教徒に配慮している部分はありませんでした。

その代わりというわけではないでしょうが、安息日である金曜日の集団礼拝(礼拝所は代々木上原にある東京ジャーミー)にはコックさんたちが連れ立って参加していたようです。断食も特にしている様子はありませんでしたが、お酒は飲んでいなかったです。

つまり、イスラム教徒が多数派であったとしても、必ずしも戒律に則って仕事をしているとは限らないということです。
商売ですので、商売が成り立つようにすることがまずは大事ですし、イスラムの教えもイスラム教徒が置かれている状況に対して現実的な判断を否定していませんので、事業所としても現実的な対応をされてよいと思います。

なお、女性が髪を隠すもの(タイプによってヒジャブやブルカなどと呼ばれています)について仕事中の着用を禁止するというところが多いようですが、私が見てきた限り、本人は「恥ずかしい」という感覚は残ってしまうようです。普段身につけるものがないというのは誰でも恥ずかしいでしょうから、これについては安全上の問題(例:機械に巻き込まれるなど)が無いのであれば、着用を認めるほうがいいのではないかと私は考えます。目の部分しか見えないタイプだと安全面などで難しいでしょうが、顔がちゃんと見えるのであれば、きちっと巻くタイプにすることで安全面の問題はあまりないのではないかと思います。礼拝所と違って大掛かりなことでもないので、不公平感が生じることもないでしょう。

イスラム教徒のことに限らず、事業所においては現実的で不公平感のない判断を堂々として頂いて構わないと思います。
社員が多様であるからこそ、どちらにも偏らないドライな判断が求められます。