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【社労士ブログ】視点で際立つ
作成日:2025/11/04
技能実習生の私生活の制限はどこまで許されるのか?

代表の中尾です。
いつもお読みいただきありがとうございます。

こんな報道がありました。

【南日本新聞デジタル】枕崎の技能実習生4人が監理団体を訴えた第2回口頭弁論 フィリピン人女性「枕崎での生活は自由とプライバシーがなかった」 本人尋問で明かす
https://373news.com/news/local/detail/223009/#google_vignette


びっくりするくらい法違反オンパレードの事例ですが、生活上の自由についてどう考えるかは意外と重要かつ悩ましい点です。

技能実習生は法的には「労働者」であり、労働時間以外の時間は、もちろん本人の自由に過ごすことができます。

一方で、技能実習生は実習実施者や監理団体が準備した宿舎で生活するという側面もあります。

したがって、宿舎での生活には一定程度、それを準備した側が規定する規則に則って生活してもらうということも必要です。

しかし、いくら規則によるものと言えども過度な制限は禁止されます。
法的な根拠は技能実習法第48条2項「技能実習関係者は、技能実習生の外出その他の私生活の自由を不当に制限してはならない。」です。

この「不当に」というのが肝ですが、これについては厚労省の省令である程度具体的に示されています。

事業場附属寄宿舎規程
第四条 使用者は、次の各号に掲げる行為等寄宿舎に寄宿する労働者の私生活の自由を侵す行為をしてはならない。
一 外出又は外泊について使用者の承認を受けさせること。
二 教育、娯楽その他の行事に参加を強制すること。
三 共同の利益を害する場所及び時間を除き、面会の自由を制限すること。

これにより、先ずは「外出」「外泊」「行事」「面会」についてどのようにするのかを決めておく必要があります。

特に実習実施者としては安全面や管理面でのことからある程度行動を把握しておきたいという想いはあろうかと思います。

私の知っている範囲では、行先や出発・帰宅予定時間、面会者を記録するノートを書かせるまでなら許されるでしょう。
できれば、こうした記録をしっかりと書く実習生には何かしら金銭的なインセンティブ(給与ではなく表彰で)もあると尚良いかと思います。

極端な例ですが、宿舎に外部の者が頻繁に出入りしている、もしくは宿舎外に頻繁に出入りしている場合は、そこでギャンブルが行われているという事例もあるそうです。

上記の報道のようなことは論外ですが、最後まで実習を全うしてもらうため、母国で心配しているご家族のために、特に若い実習生の場合(18歳〜20歳)は目をかけることも必要ということは、技能実習生本人にもお話ししたうえで取り組むことが大切です。

中には20代後半や30代の技能実習生もいますので、そうした年代の方については「子ども扱いされている」と思われないような範囲での関わりがいいでしょう。

失踪や退職が心配とは思いますが、「行動制限」に力を入れるのではなく「定着」に力を入れるような発想で取り組んでいただきたいと思います。