作成日:2025/10/20
退職金の導入を自治体が支援するムードになってきました。
代表の中尾です。
いつもお読みいただきありがとうございます。
三重県伊勢市の補助金ですが、
「中小企業退職金共済制度奨励補助金」
というものがあります。
特定退職金共済制度(地域の商工会などが運営するもの)または中小企業退職金共済制度(いわゆる中退共)の掛金に補助をするというものです。
狙いとしては、もちろん「社員の定着」です。
地方自治体を悩ませる最も大きな問題は「人口減少」です。
また、地元の中小企業の後継者不在等による「廃業」も問題視されています。
こうしたことを受けて、伊勢市としては中小企業に導入が少ない退職金制度の導入を促進しようとしているのでしょう。
ちなみに、中小企業における退職金の導入率は「令和5年就労条件総合調査」によると、従業員30人以上100人未満の中小企業では70%ほどのようですが、30人未満になるとそれよりも少なくなることは想像に難くありません。
私の実感としては30人未満になると退職金制度のある会社は50%もないのではと思いますが・・景気の良かった時期に節税対策として積極的に導入したところはあったでしょうが、創業からあまり年月が経っていないところは導入していないかもしれません。いずれにしてもこうした補助金が人気のあるものとなれば、他の自治体も真似をしだすのでその点は注視したいと思います。なお、中小企業で退職金制度があるところでは、「基本給連動式」の場合が多く見られます。つまり、退職時点での基本給をベースに支給率を掛けて退職金の金額を算出する方法です。若い時から定年まで長く働いた方は定年退職時の基本給が最も高い場合が多いので、「会社は長く働いてほしいし、あなたも長く働いた方が得だよ」というメッセージが裏にある方式です。他方、賃金制度の見直しの際に、こうした方式の退職金制度の場合、基本給が上がればその分退職金も上がりますので、賃金だけでなく退職金の支給額も見直すことになります。最低賃金の上昇もあり、基本給はベースアップせざるを得ませんが、それと共に退職金まで上げてしまうと会社の財政へのインパクトが大きいので、退職金の支給率を調整するなどの工夫が必要です。弊所ではそうした制度の設計・見直しを多く扱ってきましたので、賃金・賞与・退職金を上手に組み合わせる方法について事業主様と一緒に考えていければと思います。ぜひお気軽にお問い合わせください。