作成日:2025/09/08
法律と実務との距離感をつかむことが大切!
代表の中尾です。
いつもお読みいただきありがとうございます。
外国人技能実習制度に係る法定講習の講師を、毎月4〜5コマ担当させていただいています。
3年ごとに受講が必須(指導員は任意)であり、平日に、(最も長い講習では)7時間ほどずっと座学で学んでいただく講習なので、受講される皆さまには体力的なご負担もあろうかと思います。
講習の内容は法律のお話が大部分で、ずっとそうした話を聞き続けるのは集中力の面でも大変なところもあろうかと思います。
法律の原則的なことよりも「他社ではこうしている」「そこまでやらなくても何も言われない」というふうに思われる部分もあるでしょう。
しかし、実務や普段の活動範囲で見聞きすることに偏りすぎると、「本当はなにが正解なのか」がわからないままになってしまいます。
たとえば「在留カードは原本の確認までしなくてもいい」というふうに実務をしているのが当たり前で、それで今までトラブルが無かったとしましょう。
そうなると在留カードは単に「必要書類」の一つでしかないという認識になります。
しかし、在留カードはいったい何のためにあるのでしょうか。
外国人にとっては「身分を証明するもの」です。
国にとっては「外国人を適正に管理するもの」です。
受け入れる企業にとっては「不法就労助長罪とならないようにするため」のものです。
その在留カードが実は偽物であり、結果として不法就労者を雇用してしまったということになれば、「外国人を適正に雇用できない」ということになり、不法就労助長罪の罰則(5年以下の拘禁刑または500万以下の罰金もしくはその両方)に加え、しばらくのあいだ(技能実習生なら5年)外国人を雇用できないというペナルティが課せられます。
また、在留カードが本物であったとしても、その在留資格で許可されている活動の範囲とこれからやってもらいたい仕事の内容が一致しているかどうかも必ず確認しなければなりません。
在留カードだけでなく、採用時や入社後に社員から取得する書類について、「何のための書類か?」ということを常に意識しながら取り扱わなければ、特に外国人雇用の場面では思わぬところで法令違反をしてしまうことがあります。
そうならないために、法律という「本来の姿」を先ず頭に置きながら、実務の事情をふまえつつ致命的なことにならないための「距離感」を会得していくことが大切です。
次の法定講習までの3年間に変わったことも多々ありますので、先ずは1日だけ、しっかりと学んでいただきたいです。
