作成日:2025/04/07
AIで、労務相談が代替されるのか?
代表の中尾です。
いつもお読みいただきありがとうございます。
ある行政機関で、労使双方からの労働相談を受けて数年が経ちます。
その中で、相談に来られた方が「相談してよかった」と言ってくださるときに、
自分自身がどんな対応ができているのかを振り返ってみました。
【相談を受けながら考慮していること】@相談内容を交通整理すること A「問題」と「課題」を分けること B対処方法の選択肢を示すこと Cその法的根拠や裁判例を示し、選択肢ごとの見通しを簡単に示すことDその人の性格や癖を想像すること E相手方との関係性を探ること F相談者の人生観、家族との関係性などの属人的な要素はどんなものかを探ること G相談者と相談される者との信頼関係を築くことでは、これをすべてAIで代替できるのか?@〜Cなら簡単にできそうです。D~Fは、高度なAIならある程度はできそうです。ここまでみると労働相談・労務相談を代替できそうですが、相談者が本当に相談したいのは、【あちらを立ててればこちらが立たず】という点でどうしたらいいのかわからないということなのです。上記でいうと、@〜Cに偏ると戦争になるD〜Gに偏るとモヤモヤが残る。ここで悩むわけです。夏目漱石の『草枕』で「智に働けば角が立つ情に棹させば流される」という名台詞がありますが、まさにそういう心境です。そういう心境の人に、具体的な行動に移すための何かを提供できるのは、Gの信頼関係を築くことができた人しかいないと思います。したがって、労務相談・労働相談をAIが代替できるのかどうかについては、回答を検討・作成する作業の効率化にはなるけども、代替できない部分は必ず残るというのが結論だと思います。弊所は、行政機関での労働相談経験も豊富なので、他の事例もたくさん踏まえたうえでお答えしています。ぜひお気軽にお問い合わせください。