作成日:2024/12/18
就業規則を作る順番を間違えないことが大事。
代表の中尾です。
いつもお読みいただきありがとうございます。
社労士に対して事業主様が期待されることとの一つが「就業規則」です。
この就業規則は「ルール」ですので、
ルールの作り方を押さえてないと、
法令順守に偏ったり労使どちらかに偏ったものになりがちです。
私なりの見解ですが、
ルールというものは、
目の前にある現実を言葉にしたものであって、
ルール自体が現実を作るわけではありません。
言い換えると、
すでに社内で実現しているルールがあって、
それを改めて文字にしたのが「就業規則」なのです。
この順序がよく逆になってしまうのですが、
「就業規則に書いてないから守れない」
「書いているから守れる」
と考えがちです。
そうではなく、
「先ずは実際にルールを守っているという状況を作り出してから、それを言語化する」
というのが本来の順番です。
前者の状況でも言語化されたものが無いと迷ってしまいますが、
その時点ではメモでも何でもいいのです。
いきなり就業規則にしてしまうと、
それが「契約内容」になってしまうので、
万が一それが守れないとなれば、
使用者である事業主様は「契約違反」というそしりを免れません。
この順番を間違えるので、
「ルールを作っても守られない」という状況が生まれてしまうのです。
ただ、
ここが難しいところなのですが、
法律でさえ、
この順番が逆になってしまっているのです。
たとえば労働基準法ですが、
守るのが難しい法律とよく言われます。
なぜか?
労働基準法というルールが守られている状況よりも先に、
法律の文言自体が先に出来てしまったからです。
これは、戦後の日本にGHQ主導による立法や、
それ以前にも明治の日本にいきなり欧米的な発想に基づく法律が適用されたという経緯が影響しているでしょう。
この、
目の前の現実よりも先に法律が先に来てしまったことの功罪が、
いまだに尾を引いているように私にはみえます。
ただ、
そうは言っても法律は守らなければなりません。
それならば、
法律が想定している世界がどんなものかを先ずは理解する、
そうしたところから始めることが不可欠です。
たとえば、
労働契約は民法で規定されているものなので、
民法が想定している世界・社会・人間とはどんなものなのかを理解しないとわかりません。
また、
民法の上には憲法があるので、
憲法の想定する世界・社会・人間というものを理解しなければなりません。
就業規則も同じことです。
その会社はどんな事業をしていて、どんな人たちが働いていて、どんな環境で仕事をしているのか?
今後、どうなっていきたいのか?
そうしたことを抜きに、
ただ法令順守だけを追いかけるために就業規則を作ると、
有名無実化したルールだけが取り残されることになります。
法改正が目まぐるしくなされる昨今ですが、
追いかけられてする規程づくりは決してうまくいきません。
多少立ち止まってでも、
先ずは自社の現実を把握して、
そのうえでどんなルールを作るのかを考えるという順番を守るようにしていただきたいと思います。
弊所の就業規則作りは、
まさにこのような発想で行いますので、
他事務所より時間もコストもかかりますが、
現実的なルール作りについてはどこよりも実現できると自負しています。
先ずはご相談ください。
弊所の失敗談も含めて詳しくお話しさせていただきます。