作成日:2024/11/11
どんな組織にしたいのか?の選択肢は、2つあります。
最近、「組織開発」という分野が注目を浴びており、社労士の中でもこの分野に取り組む者や自主的な勉強会を開催する者が増えてきました。
人的資本経営が叫ばれたり、多様な社員が働くようになったことにより、これまでの企業における組織の在り方に対して見直さなければならないという問題意識の現れなのだと思います。
また、弊所の得意とする事業承継においても、「後継者が経営しやすい」組織にするために人事制度などを見直すことがあります。
なんだか大変で難しそうなイメージがあるかもしれませんが、弊所では組織の見直しにおいては、
大きな方向性を決めることがはじめの一歩だと考えています。
その、大きな方向性には2つの選択肢があります。
★機能集団的な色彩の強い組織にするのか?
☆共同体的な色彩の強い組織にするのか?
そもそも、企業における組織の役割は、「利益を出す」ということです。
そのために必要な能力・スキルを持った人材を集め、経営者一人ではできないことを代わりに遂行してもらう、
その受け皿としての組織が★の「機能集団」です。
機能集団的な色彩が強ければ、基本的には自分の責任の範囲で能力・スキルを発揮してくれればほかに求めるものはないという傾向になります。それが過ぎると、ギスギスした、優勝劣敗の冷たい雰囲気の職場になることもあるでしょう。
それに対して、「共同体」の場合は能力・スキルの高さよりも、組織の成員としてふさわしい人かどうか、という点に重きが置かれます。
経営者の想いに対する共感や周りの人たちと良好な人間関係が築けること、長くその組織で働くことが重視されます。
利益や結果はもちろん意識されますが、得た果実は公平に分配する、温かい雰囲気の職場になる傾向があります。
それが過ぎると内向きな組織になり、新しい考え方や人材を受け入れることが難しくなるということになりがちなところもあります。
こうした「色彩」や「傾向」が、人事制度の特徴に現われますので、人事制度を設計する際には必ず上記2つの色彩のどちらを好まれるのかを確認するようにしています。
どちらにもメリット・デメリットがありますし、どちらか一方だけということになると、いずれデメリットの方が上回ることが出てきますので、結局は「機能」と「共同体」それぞれの色彩の良いバランスを1社1社見出していく努力が求められてきます。
この選択肢以外ないのかと言えば、そういうわけでもありません。
他にも、「元請けの立場で経営する」のか「下請けとしての立場で経営するのか」という選択肢があります。
これは、物流、製造、建設などの業界において顕著に現れる組織の特徴なので、業界によってはこの選択肢も踏まえて組織を考えていくことも大切です。
こうしたことは法律で規制されることのない、経営における「自由裁量」の部分です。
「何のために経営しているのか?」という原点を忘れないためにも、企業規模を問わず、組織について考えることがとても重要な時代になっていると思います。
初めてお会いする事業主様とこうした会話をすることは、弊社としてとても楽しいことです
最終的にビジネスにはつながらなくとも、事業主様の想いを聞かせていただける経験は、弊所にとっての財産です。
先ずはお気軽に、こうした話題の話し相手として弊所を選んでいただけますと嬉しく思います。