作成日:2024/06/03
「安全」と「衛生」の違いとは?
労働安全衛生法にかんするご相談もよくいただきます。
労基署による臨検(立ち入り検査)でも、安全衛生法違反についての指摘が最も多いそうです。
ところで、
この「安全」と「衛生」は何が違うのでしょうか。
労働法の教科書を参考にざっくりと定義すると・・
「安全」:危険をゼロにすること
「衛生」:危険をコントロールすること
というふうに区別できるようです。
たとえば、
「安全」でいうと、
機械の危険な箇所(刃物が回転しているところ)に触れないようにカバーをつけること。
これによって「けが」という異常な出来事(事故)を未然に防ぐ(事故ゼロ)。
「衛生」でいうと、
作業所で有害な物質を扱うので、室内に換気設備を設けてしっかり換気すること。
これによって「中毒」という異常な出来事(事故)にならない環境を維持すること。
違う言い方をしてみると、
「安全」の対象となっている危険なものは、ゼロにできるもの。
「衛生」の対象となっている危険なものは、ゼロにはできないが危険でない程度にコントロール可能であること。
こうした危険なもの特定し、
それらを扱うための条件(資格、許認可、安全衛生管理体制、教育など)を定めることによって、
「快適な職場環境の形成」を目指す法律といえると筆者なりに理解しています。
このように、
難しいことをわかりやすく(しかも芯を外さずに)表現・説明することも、
専門家としての重要な役割だと思います。
ご参考になれば幸いです。