作成日:2024/05/08
最近流行っている組織開発について
どういうわけか、ここ最近、「組織開発」というテーマが人事労務の業界で言われるようになりました。
社労士のなかでも、有志で集まって組織開発の読書会をしていたりします。
また、組織の状況を把握できるように、システムやコンサル手法の開発も盛んにおこなわれています。
弊所も、組織力診断のための「OQナビ」というツールを活用した、
その人の個性や集団の構成員同士の相性などを分析し、それを組織力向上につなげていくコンサルを行っています。
以上のことは表面的な出来事の話ですが、結局何をしているのかというと、
見えないものを、見えるようにすることであると捉えられます。
社員の満足度や組織上の不平不満についてアンケート(社内サーベイ)をすることや、各種のツールを用いた分析は、目では見えない人の心境・心理・感情といったものをグラフや数値で見える化してくれます。
そうしたことを見える化することで、組織における施策の有効性・実効性を向上させ、ひいては「人的資本経営」の実現のために活かすということなのでしょう。
「見えない問題は解決できない」といわれるように、何かを解決したければ、まずは問題を見えるようにすることろから始めることになります。組織の規模が大きければ大きいほど見えない部分も大きくなりますが、規模が小さくとも「見えているつもり」になっていることが往々にしてありますので、企業規模にかかわらず自社の状況を把握するために見えるようにする取り組みは大切です。
一方で、そうした見える化させるツールやコンサル・メソッドは有料のものなので、費用対効果もふまえて導入を判断しなければなりません。弊所の組織力診断も有料ですが、長年その人と付き合わないとわからないことがすぐに把握できるので、時間やコミュニケーションに係るコストを大幅に削減することになります。
また、ここで重要なのは、そうやって見える化されたものはあくまでも料理でいうところの「食材」であって、それらの食材からどういう「料理(課題)」を作ることで、「満足度の高い食事(業績UP)」に結び付けていくのかということです。まさに、ここがもっとも重要な部分と弊所は考えますので、単に見える化ツールを提供するのではなく、最後の「満足度の高い食事(業績UP)」を主眼に置いたアドバイスやコンサルティングを行っています。
こうしたことは、何も組織開発に限らず、賃金制度設計や就業規則、給与計算の品質改善など社労士事務所の基本サービスにおいても同様です。
加えて、弊所として大切にしていることは、見えないものを見ることよりも、
見えるものを、ちゃんと見る
ことです。
すでに書きましたが、見えないものを見えるようにするためには、どうしても有料のサービスに頼らざるを得ないところがあります。
しかし、そうしたものを使わなくとも普段見えているものも、当然あります。
「目は口ほどにものをいう」や「体はうそをつかない」などと昔から言われるように、見えているものをちゃんとみることによって、見えないものも見えるようになることも多いはずです。
仏教に「八正道」*というおしえがありますが、その最初が「正見(しょうけん)」つまり正しく物ごとを見ることであるくらい、人は目の前の物ごとを正しく見ていないのです。
そうすると、本当に必要なものは有料ツールを使って見えるようになったものを見ている自分自身が、それをもって「正見」ができていると勘違いしないよう、謙虚な姿勢をもつことであると筆者は思います。
こればかりは、いくらツールが発達しても自分自身の心がけなので、その部分をどうするのかが人間に最後までつきまとう課題なのかもしれません。
*八正道
以下を行うことで、迷いを離れ悟りに到達することができるとおしゃかさまは説かれました。
1.正見(しょうけん) ・・・ 正しく物ごとを見る
2.正思惟(しょうしゆい) ・・・ 正しく物事を考える
3.正語(しょうご) ・・・ 正しく物事を話す
4.正業(しょうごう) ・・・ 正しい行いをする
5.正命(しょうみょう) ・・・ 正しい生き方をする
6.正精進(しょうしょうじん) ・・・ 正しい努力をする
7.正念(しょうねん) ・・・ 正しい道を思い念ずる
8.正定(しょうじょう) ・・・ 心静かに精神を持ち、正しく心を整える
(引用)
公益財団法人 全日本仏教会ホームページ
https://www.jbf.ne.jp/interest/qa?id=