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【ブログ】視点で際立つ
作成日:2024/02/25
人事評価において自己評価は必要か?

人事評価制度をつくるときに、迷うポイントの一つが、

「社員による自己評価は必要か?」

ということです。

評価する側としては、上司の評価と社員の自己評価を比較することで、

@評価のギャップを見える化

Aなぜギャップが生じるのか?という話題で面談する

B社員の自己評価の仕方を会社目線の評価に導くほうへ修正する

C社員を会社の望む方向へ行動変容させる

D結果として会社の望む方向へと成長し、本人に処遇で報いることができるので、お互いにとって良い効果を生む

上記のような効果を期待されることが多いと思います。

では、社員つまり評価される側としてはどのように映るでしょうか。

@評価のギャップが見える化される

A評価者(会社、上司)の評価を基準に、自己評価を修正される

B評価者の期待に沿う仕事をするように指導される

C自己評価よりも評価者の期待を考慮して仕事をする

D期待に沿って仕事をしたのに、また評価のズレを基に指導される

社員にとってネガティブなケースを想像して書いてみましたが、

程度の差こそあれ、

多くの社員はこうした捉え方をされることが多いのではないかと思います。

もちろん、そもそも労働契約とは

「労働者は労務を提供し、それに対して使用者は賃金を支払う」というもの(民法623条)

であり、提供された労務が使用者の期待に沿ったものであった(債務の本旨に従った労務の提供)かどうかは、

使用者に評価する権限があると考えることが自然です。


とはいえ、

社員は感情を持った人間なので、

いくら原理原則や理屈は合っていても、なかなか納得することは難しいところもあるでしょう。

それなら、自己評価は廃止して単に評価者による評価だけを示せばいいのかというと、不安になる点は残ります。

それは、コミュニケーションが一方通行になってしまう点です。

会社は評価し、社員はそれを受け入れ素直に従う

という図式はシンプルであり、

社員に自己評価させることで生じる期待を裏切るようなことはありません。

そもそも、自己評価を採用する余地は、初めから無いのですから。

ただ、

現代のコミュニケーションの在り方としては、

肯定的には受け入れられなところもあることは想像に難くありません。

特に、

初めからある程度その仕事ができることを自らアピールして入社したわけではない新卒者や未経験の中途採用者にとってみれば、

何かと言い訳したいことはたくさんある中、

ぐっと我慢して期待に応えるようにしなければならないのはかなりの忍耐を要するでしょう。

さて、

ここまで自己評価を採用する場合としない場合の効果を考えてきましたが、

どちらを採用しても、メリットとデメリットがあることは間違いなさそうです。

筆者としては、

人事評価制度は法的な義務ではないことと、

評価する権限は会社特有のものであるので、

どちらを採用するのかは評価する側の「使いやすさ」で決めればいいと考えています。

使いやすさは、

「社員の自己評価と並べた方が、指導しやすいのかどうか」
「評価面談にどれだけの時間をかけられるのか」

といった点を基に検討されればいいでしょう。

たとえば、「社員の数に対して評価者が少なく負担が大きい」という場合は、

面談にかけられる時間や労力は少なくなるので、

評価は一方的なものにするが、

他の手段や機会(例:社員アンケートや社外研修への社費による参加)によって、

社員側の感情や育成面でのケア・サポートを施すようなバランスのとり方が考えられます。

人事評価制度は、会社と社員とのコミュニケーションのためのツールであり、

それを使うことによって

会社の業績に貢献することに繋がってこそ意味があるものになります。

最近、ある人的資本経営にかんするセミナーで良い言葉だなと思ったもので、

「常に、経営が先に来る」

というものがありました。

何の制度や施策であれ、経営(業績)に資するものでなければなりません。

そうした大きな視点と、

評価する側と評価される側の実情を把握する視点とを併せて、

自社に合った制度として自己評価の採否を検討すればいいでしょう。

弊所で関与した人事評価制度は、自己評価を採用するパターンが多いですが、

狙いとしては、

今は評価される側の社員もやがては評価する側(管理職)になることを期待されているので、

評価することもされることも、初めから経験させるということがあるようです。

ジョブ型の会社であれば、

評価する側とされる側にははっきりとした線が引かれるので、

そうした発想はありません。

それは間違っていませんし、

実情に沿った制度として作ればいいことになります。

こうしたことを対話しながら、

人事評価制度、賃金制度、その他さまざまな制度や施策をつくっていくのが、

弊所のコンサルティングです。

一定期間、お客様にはご面倒をおかけすることになりますが、

初めから決まった型でパッケージされた制度にはない、

会社・事業主さまごとの想いや戦略に沿う制度・施策

を創るためにはどうしても必要な工程です。

社員の納得感は、個々人次第ですので、

一律に適用する制度や施策でそれらをすべて拾い上げるのは至難の業です。

そうであるなら、

先ずは会社・事業主さまの納得感を実現する制度・施策を創るために支援することが、

弊所の使命であると考えます。


どうぞお気軽にご相談ください。