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社労士の視点
作成日:2024/02/10
美容師の給与を分析してみます。

ネットの求人広告で目に留まった求人について、給与を分析してみます。

【多店舗展開の美容師室】
○美容師    月給26万円強〜29万円強+歩合
○アシスタント 月給22万円〜25万円強+歩合


以下も追記があります。

○美容師 固定時間外手当(55h分)66,000円〜89,760円(勤務地・職種による)含む。
※最低賃金を下回る場合は調整手当を支給。
○アシスタント 0〜61,600円
※特別条項付協定締結済

上記の月給と別なのか含むのか不明ですが、おそらく固定残業を含めた月給+歩合でしょうから、それぞれの月給の構成は、下記のように試算します。

○美容師    基本給19万円強〜+固定残業代+歩合
○アシスタント 基本給19万円強〜+固定残業代(有無は個人差あり)+歩合 ✱基本給は若干、美容師より低い

なお、経験、能力により月給(おそらく基本給部分と想像)に差があることの記載、諸手当の記載は無しです。
また、特別条項締結済みとの記載があるので、基本給のテーブルは全国共通としても、店舗によって固定残業代の差があるものと想像します。

学歴は美容専門学校卒(高卒も条件付きで可)、美容師免許必須、休日は月8〜9日、昇給随時となっています。

気になった点としては、やはり「固定残業代が55時間分」であることです。過労死ライン(1月で100時間超または2〜6か月の平均80時間超)よりは少ないものの、「脳・心臓疾患の労災認定基準」を考慮すると気になる時間設定です。

また、賞与について記載がないので、仮に賞与が無いとすると、

美容師の年収    320〜350万円+歩合  
アシスタントの年収 264〜300万円強+歩合

となるので、この会社の美容師さんの年収は、全体として300万円前後〜400万円前後というイメージです。

これらのことをどう解釈するかですが、

・美容師は「なりたくてなる(自ら進んでなる)」職業であること
・モラトリアム(学校に通う期間)は4年制大学より短いこと
・空調の効いた室内で出来る仕事であること
・自らは移動する必要がないこと
・日や時間帯で繁閑の差が大きい仕事であること
・一般的な美容室であれば、高度で希少な技術は不要であること

以上の点から、固定的な給与額は一般的な水準(全国・全業種平均)より少し低めに設定しようと考えることが想像できます。

一方で、

・売上を作り出すのは、美容師やアシスタント自身であること
・売上を左右する要素として、美容師やアシスタントに対する客の信頼や好みが大きいこと
・一般客向けの美容師としての技術レベルの基準は全国共通(単一の免許制)のため、技術レベルの向上に対するインセンティブは別に設ける必要があること
・売上の変動が大きいビジネスのため、給与に変動部分を設けることに合理性があること

以上の点から、固定部分と変動部分の組み合わせで、かつ変動部分(歩合給)に大きな余地を持つ給与が構成されているのも理解できます。

さて、仕事を探している立場に立ってこの求人を見たときにどう思うかですが、当然、同業者の給与水準との比較をしつつ、やる仕事そのものには会社ごとでそれほどの差はないでしょうから、他に気にする点としては、店舗での人間関係がうまくいくのかどうかという不安に対して、どこまで応えられるかではないでしょうか。また、人によっては店長や本部への転属などキャリアパスも気になるでしょう。

この求人では、職場環境について写真付きで複数の記事を付けており、経営の安定性や研修についても言及があるので、上記のようなニーズを意識していることがうかがえました。キャリアパスについては言及がないようでしたので、その点は気にする方が少数派なので省略したのかもしれません。

この求人広告主は規模が大きめの会社ですので、普段街で見かける個人経営や小規模法人の美容室からすれば、研修やキャリアパスといった面では競争が難しい面もあるでしょう。

他方、商売の特性自体は共通しているので、給与体系は揃えつつ、独自のアピールポイントを見出すために規模が異なる求人を参考にしてみる(先進的な取り組み等)のは無駄ではないので、美容師に限らずどんな業種でもどん欲に情報収集・比較をすることは重要だと思います。