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【ブログ】視点で際立つ
作成日:2024/02/08
長時間労働が嫌、というのは本当か?

昨夜、「運送の2024年問題」について、同業者さんたちと座談会をしました。

メンバーには現役の運送会社総務担当者の方もいて、

若者を採用できなくて困っているとの声を聞きました。


その会社では全国をエリアにして配送しているため、

長距離ドライバーは帰宅できる日が週にわずかしかないこともあります。

若者でなくとも、

そうした生活を許容できる人はある程度限られてきますが、

そこで私の頭の中で「?」が生まれました。

それは、

「長時間労働が嫌なら、どうして業務委託で配送する仕事に若者をよく見るんだろうか?」

という疑問です。

地域によると思いますが、

大阪ではAmazonや佐川急便の宅配で来られるドライバーさんに、

若者をよく見かけます。

Uberなどのフードデリバリーも若い方が多い印象です。

業務委託なので、当然、労働時間に法的な制限はありません。

自己責任です。

一方で、

一人が1日に宅配する宅配荷物(フードデリバリーは除外)の個数は、

150〜200個と言われており、

仮に配達1件に5分かかるとすれば、

@150個で12.5時間/日
A200個で16.7時間/日

これに、前後の移動や業務を3時間と仮定すると、

B150個で15.5時間/日
C200個で19.7時間/日

が必要です。

ここで、仮に荷物一個あたりの歩合報酬が200円とすると、

D150個で30,000円/日
E200個で40,000円/日

これらから時給換算すると、

D÷B≒1,936円/時
E÷C≒2,031円/時

大阪府の現在の最低賃金が1,064円なので、

それに比べるとずいぶん高そうに見えますが、

業務委託なので、

ここから、

・車両に係る経費 (雇用なら会社が負担)
・経営に係る経費 (雇用なら不要)
・所得税
・住民税
・消費税     (雇用なら不要)
・社会保険料   (雇用なら会社が折半)
・生活費     (雇用なら手当があることも)
・養育費や介護費 (雇用なら給付金や休暇あり)

を捻出することになるので、

可処分所得(個人が自由に使えるお金)が雇用の場合とどれほど違うのかというと、

さほど変わらないか、雇用より少ないかもしれません。

ちなみに、人間が1日に取るべき睡眠は7時間が目安だそうですが、

Bの場合は、残りの8.5時間/日から睡眠時間を捻出
Cの場合は、残りの4.3時間/日から睡眠時間を捻出

上記いずれであっても、7時間の睡眠を毎日確保するのは難しいですね。

もちろん、1か月あたりの稼働日数を調整し、

十分な休業日を設定すれば、

ワークライフバランスを保ちながら、

自由な一人親方として働けることも考えられますが、

委託する側として、

「週に6日稼働します」

というドライバーと

「週4日稼働します」

というドライバーを比較した時に、

どちらにより仕事を多く(かつ割のいい)振りたくなるかという点では、

前者に軍配が上がってしまうでしょう。

私の経験では、

稼働日の多いドライバーほど、

よりよい条件を求めてよそに逃げてしまうので、

そうした差配もやむを得ないという側面もあると思います。

もちろん、宅配荷物の量が増えている状況では、

とにかくドライバーを集めないといけないので、

稼働日だけでみることはないかもしれません。

一方で、受託するドライバーとしては、

どうせ働くなら取り分は多い方がいい、

むしろ、

そうでなければ委託でやるうまみが無いということになりますので、

ワークライフバランスより委託側のことを優先したくなりますし、

稼げるうちに稼いでおこうという発想も働くと想像します。

ここで、冒頭の私の頭に浮かんだ「?」に戻って考えますと、

確かに、委託のメリットはあるものの、

時間にせよ経費にせよ、

リスクを自らが負う働き方でもありますが、

長時間労働が嫌なはずの若者の一定数が、

そうした働き方を選ぶということは、

若者の志向として、

働き方を選択するうえでの長時間労働という要素は、

あくまでも要素の一つに過ぎないのではないでしょうか。

私見ですが、

委託の宅配ドライバーを選択する若者たちは、

扶養家族がいない等の環境の要素はありつつも

「自分で考えること」
「自由であること」
「わかりやすいこと」

が、働き方を選択するうえでの

最も大きな要素ではないのかと想像します。

この想像が当たっているのであれば、

そうした要素を踏まえて、

自社の求人や既存社員の働き方を改めて見直してみると、

若者に刺さる要素が生み出せるのではないか

という期待が持てると思います。

そのためには、

若者に刺さるような職場環境を意図的に創り出していく

ということが経営戦略の一環となるでしょう。

若者が入社することで、

会社の雰囲気も変わり、

既存社員にとっても良い刺激になります。

それは、若者におもねるということではなく

「未来への投資」

と考えられれば、

ワクワクする取り組みとなるので、

社長は経営が楽しくなり、
社員は仕事が楽しくなり、
結果として業績が上がる

というサイクルを生み出してくれるものと思います。

どうせ先が読めない時代ならば、

悲観より楽観でいきたいですね。