作成日:2024/01/09
「人手不足」という言葉では解決しない!
新年あけましておめでとうございます。
本年も何卒よろしくお願い申し上げます。
さて、今年も「人手不足」が続くと誰もが予想されていると思いますが、
この「人手不足」という言葉について気を付けなければならないことがあるというお話です。
そもそも、人手不足は誰の目線での言葉なのでしょうか?
会社側、雇用する側の視点での言葉ですね。
では、逆の立場、つまり社員(となるであろう人)の目線では、
会社側が人手不足という状況をどう見ているでしょうか?
おそらく、
「売り手市場」
「選び放題」
「いつでも転職できる」
「嫌なら他に行けばいい」
等々というふうに見ていることでしょう。
この比較をする意図は、
「問題を解決したい時に、解決したい側の視点だけで物を見たり考えると、解決できない」
ということをお伝えしたいからです。
人手不足でいうと、
例えば、現状の仕事を今まで通り回すには5人必要なのに、
既存の社員数が5人未満であるという状態(問題)があり、
それを解消(解決)したいと思っているのに、
会社側が望むようなタイミングで解消(解決)できていない状態
ということになります。
そこで、どのような方法を取ってその状態を解消するのか?
代表的なのは「賃上げ」ですね。
しかし、一口に「賃上げしよう!」と言っても、様々な問題が立ちはだかります。
・人件費が増えることをどうカバーするのか?
・既存の社員の賃金とのバランスは大丈夫か?
・いくらまで賃上げすればいいのか?
仮に、上記のような問題がクリアできたとして、
それで確実に人手不足が解消するのでしょうか。
残念ながら、そうとは限りませんね。
なぜなら、もはや「賃上げ」自体、何も珍しい施策ではないからです。
せいぜい、同業他社との背比べに並んだ程度の効果しかありません。
たいての会社(雇用する側)は、
ここから先どうすればいいかで立ち尽くしてしまいます。
そこで必要になるのが、
「人手不足」という言葉そのものをよく観察すること、
つまり
「それって、誰目線?」
とツッコミを入れてみることです。
初めに書いた通り、これは会社目線ですね。
つまり、
会社目線で問題を設定し、その問題を会社目線だけで解決しようとしてしまっていないか?そういうツッコミを入れてみることで、
より効果的な施策を立案・実行できる可能性が飛躍的に高まります。
同業他社に負けないほど賃上げした、
しかし相変わらず求人に応募がない場合、
次に必要になるのは、
逆の立場に立って、この問題を設定しなおすことです。
「人手不足」と言っている会社を求職者から眺めると、
「働きたいと思える会社ではない」と見えているわけです。
商品で言うなら「ニーズに合っていないモノ」となるでしょう。
少し過激な表現になりますが、
「おたくが人手不足なのは、こちら(求職者)の知ったことではない」ということなのです。
もちろん、
入社していただいた暁には、
しっかりと仕事をしてもらわなければならないので、
おもねったり、低姿勢になることは不要です。
また、
求人に苦労していることと、その会社が魅力的でないとうことはイコールでもありません。とどのつまり、
求人は広告宣伝なのですから、
いかに上手にアピールするかに尽きます。
かといって、
求人媒体会社に任せっぱなしでは、なかなかうまくいきません。
変な話ですが、
求人媒体ですらどうしたいいのかよくわかっていないところも多いうえ、
媒体側としてはクライアントである求人側の決定に従う立場なので、
あまり踏み込んだ提案はしづらいのかもしれません。
例えば、媒体側として
「今時の求職者は有給取得率を気にしますよ」
「研修が充実している会社が人気ですよ」
という情報提供はできても、
それを具現化するところまで踏み込めるところはありません。
つまり、「こうすれば広告宣伝がうまくいく」というノウハウはあっても、
求人側にその根拠となる制度や実績が無ければ、何も始まらないのです。もし、そうした制度や実績もないのに、
「わが社の有給取得率は100%!」
という求人広告をしてしまうと虚偽広告に加担することになりますので、
まともな媒体ならそうした広告は拒否するでしょう。
ではどうすればいいのか?
まさに、ここが社労士の出番です。
社労士は広告宣伝のプロではありませんが、
「求職者に”刺さる”制度づくり」
「既にある就業規則や人事制度の上手な運用の仕方」
については、プロとして提案ができます。
人事制度と言うと大げさかもしれませんが、
数十万円ものコンサル料を支払って設計導入するような施策ばかりではありません。
単純な、現行法を守るような体制づくり、規則の運用方法、正確な給与計算といった提案も、立派な人事制度です。私どもは、
お客様とのやりとりから、
「"ちょっとしたこと"で会社は劇的に変わる」ことを学んできました。そして、最も大切なことは、
「今、働いている社員に、先ず報いること」です。
未来の社員(求職者)が、
応募してくれるかどうかは、やってみなければわかりません。
しかし、既存の社員は、目の前にいるのです。
既存の社員が活き活きと働いていれば、
新たに入社してくれた社員も、
「この会社で頑張ろうかな」
という気持ちになります。
「急がば回れ」といいますが、
人手不足の本当に効果的な一手は、
実は既存の社員の満足度を向上させることであり、
そのために、
単純な施策から少し手間のかかる制度づくりまで取り組むことです。
会社がそうした取り組みをしていると、
社員はその姿を見て、会社の将来に「期待」を寄せます。
その期待が、既存社員の働きぶりに現れ、それが求人に効果的な実績を生み出してくれます。
現実には、
「早く新しい人を入れてくれ!」
という悲痛な現場の声があると思いますが、
浮足立って求人に走っても、無駄な広告を打つだけになり、ますます苦しくなります。
もしかしたら、
過去のやり方に囚われているから人手不足なだけなのかもしれません。
広告にかける費用や採用した社員の人件費を、
例えばAIや業務支援機器などの導入に充てることで解決できるかもしれません。
もっと言えば、
今までやっていたことを「やめる」だけで、解決するかもしれません。そうしたことは、
外部の視点
第3者の関与
を持ち込むことで、ポンポンとアイデアが出ることもあります。
そうしたアイデア出しの支援も、私どもの役割と考えています。
いかかでしたでしょうか。
社労士の支援は、
法律への対応だけにとどまらない、
もっと気軽なところからより高度な範囲まで及びます。
また、弊所の場合、必ずしも長期の顧問契約も不要です。
必要な期間(例:3ヶ月、半年)限りの契約でもOKです。
コンサルティング主体の社労士事務所ですので、
フレキシブルに
フットワーク軽く
対応可能です。
ぜひお気軽にご相談ください。