ロゴ3

トップ
社員教育代行
賃金・賞与・退職金
組織力診断
特定技能外国人
技能実習・育成就労
料金表
お問合せ
【ブログ】視点で際立つ
作成日:2023/11/08
「給与明細の見せ合いっこ」問題から、社労士の役割を考える。

弊所で定期購読しているメルマガによると、ある国では、従業員が給与明細を見せ合いっこするのは当たり前のことだそうです。

日本でも、医療機関において、特に女性従業員同士で見せ合いっこするのは以前から当たり前の風景ですが、上記の国では性別を問わず普通の事だそうです。一般常識の感覚は人それぞれですが、給与明細の見せ合いっこ自体、別に悪いことではないと感じる方が多いでしょう。

一方で、経営者の皆さまとお話しすると、「給与明細の見せ合いっこを禁止できないか?」と質問されることがあります。

そうしたときは、従業員同士が同意のうえで見せ合いっこするのであれば、会社がそれを禁止できる法的根拠がないので、できることといえば、法的な効果を期待せず就業規則に形だけ禁止の文言を加えること、またそれを根拠に従業員に注意喚起することが限度とお答えしています。

(なお、相手が同意していないのに見せろと迫るのは、ハラスメント行為の一種として会社が禁止する余地はあると考えられます。)


ところで、この「給与明細の見せ合いっこ」ですが、経営者の立場になると、なぜこうした行為が気になるのでしょうか。また、従業員としても、なぜ他人の給与が気になるのでしょうか。

そもそも、給与をいくらにするか、また、誰を昇給させるか、手当や賞与をいくらにするのかといったことは、最低賃金などごく一部の規制を除き、経営者の裁量で決めることができます。

裁量の辞書上の意味は、「その人の考えによって判断し、処理すること。」(goo辞書より)ですが、経営者として見せ合いっこの風景に否定的な感覚が起きるのは、給与の決定における自らの裁量にはそれなりの根拠があるのは当然としつつ、中には「人に知られたくない」ことが混じっていることも理由の一つではないでしょうか。

一方、従業員としては「私はみんなと同じくらい働いている」、「あの人はそんなに多くもらえないはずだ」、「今期は頑張ったから、みんなより多いはずだ」といった自分と他人を比較する心理や、承認欲求に関連する心理によるものであることは想像に難くありません。

想像はここまでにして、ここで、経営者と従業員との関係を規定する「労働契約」に立ち返ってみましょう。

労働契約とは、「労働者が労務を提供し、経営者がその見返りに賃金を支払うこと」です(労働契約法第6条)。実にシンプルですね。

これを基に「給与明細の見せ合いっこ」を考えたとき、仮にAという従業員がB従業員と見せ合いっこしたときに「なぜBより私の方が安いのか」と不満を持ったとすると、労働契約的に言えば、Aは「自らが提供した労務に見合った賃金が支払われていない、契約違反だ!」という理屈をもって、経営者に不満をぶつけていることになります。

契約なので、不満(主張)にはきちんと対応しなければなりません。それを「説明責任」といいます。

経営者としては、毎月きちんと給与を支払うことの苦労が身に染みているので、こうした不満には否定的な気持ちで対応したくなることでしょう。

しかし、あくまでも契約上のことと割り切れば、そうした気持ちも多少落ち着くのではないでしょうか。


さて、気持ちが落ち着いたところで、いざ説明責任を果たそうとしたとき、何をもって説明するのでしょうか。

単に、「働きぶりが期待通りじゃなかったから」、「業績がよくなかったから来年なんとかする」といった言葉だけで説明になっていると言えるでしょうか。

少なくとも、そう説明された従業員とすれば、「説明になってない」ということになるでしょう。説明する側として、それが精いっぱいの言葉だったとしてもです。


もし、そうした説明だけしかできず従業員が不満を募らせると、ほどほどに仕事をしていずれは退職、という結果になることがほとんどでしょう。求人すればすぐに次の人が来る時代、ほどほどに経営していれば会社が続いた時代であればそれもやむなしといえたかもしれませんが、今はどうでしょうか。

政治家であれば、公開の場で説明責任を迫られても煙に巻いてやり過ごすこともテクニックでしょう。しかし、今のような人手不足に加え、VUCAの時代における経営者のテクニックにはなりませんね。

そもそも契約なので、説明責任があること、それを踏まえて「誰にでもわかるような」道具をもって説明をするれが企業規模の大小を問わず求められているのだと思います。

その道具を提供するのが社労士だと弊所は考えます。

クラウドやAIといったシステムは提供していませんが、たとえば・・

〇「給与の決定の仕方(賃金設計)」
〇「採用〜定着〜活躍までの導き方(キャリア設計)」
〇「こういう社員と一緒に働きたい or 働きたくない」(評価制度、規則)


などといった面での道具を提供しています。

自社(自分)で作るからいいよ!というお考えももちろんあるかと思いますが、と「人に作ってもらうといくらになる?」といった検討もしてみませんか?

こちらからお気軽にお問い合わせください!